2016年2月20日土曜日

丸山和也参院議員の“奴隷発言”は失言に非ず、謝罪こそが学力低下の片棒を担ぐ失言

丸山和也参議院議員の2月17日(水)の参議院憲法審査会での発言が物議を醸しているようです。
「アメリカでは黒人奴隷が大統領になっている。」「オバマ大統領は奴隷の子孫だ。」「日本をアメリカの第51番目の州にすれば良い。」などと発言した、と云う訳です。

Google ニュース - 「丸山議員 発言 奴隷 51番目の州」検索結果

しかし、実際の丸山議員の発言はこうです。


【丸山和也】「黒人・奴隷が米大統領に」発言は本当に問題か? - YouTube


【全文文字起こし】何十年も議論されてきたが、参議院が担うべき役割はすでにもう期待されていない - 【国会ハイライト】自民党・丸山和也議員の「黒人奴隷が米大統領」差別発言と「日本が米国の51番目の州に」売国発言の「根っこ」に迫る!安倍政権による「米国属国化」とつながり?背後にある謎の集団とは? | IWJ Independent Web Journal

これをきちんと聞けば(読めば)、先ず、丸山議員の発言が次の言葉で始まっているのが分かります。
二院制と云う事でですね、参議院を如何にですね、存在価値をどこに求め、また高めるか云う議論がなされているんですけども、この議論と云うのは、恐らく何十年、延々とやられてきている議論なんですよね。
多少色々変わりますけれども、基本的には同じ事を言って、余り変化も無いまま来ているんじゃないかと思います。
このように、発言の冒頭で、参議院の価値向上、機能向上を論ずる発言である事が明確にされています。
そこから、党議拘束の問題、行政監視の問題を例に挙げて、参議院が同じ問題を延々議論し続けるばかりで解決出来ていない実態を振り返り、
そこでですね ※上の動画の02:48
との言葉で次に繋いでいます。
そして、問題視されている
  1. 例えば、日本がですよ、アメリカの第51番目の州になる、と云う事についてですね、憲法上どのような問題が有るのか無いのか。
  2. 例えば、今アメリカは黒人が大統領になっているんですよ。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ、はっきり言って。
との言葉が登場し、最後に
これだけのですね、ダイナミックな変革をしていく国なんですよね。
そう云う観点からですね、例えば、日本がですね、そう云う事について憲法上の問題が有るのか無いのか、どう云う事かと、云う事についてお聞きしたい。
との言葉で結ばれています。

つまり、きちんと聞けば(読めば)、丸山議員の発言は、
同じ問題を何十年も延々と議論し続けるばかりで解決出来ない参議院を変革するには、
  1. 例えば、「日本がアメリカの第51番目の州になれば、今の日本が長年抱えている、集団的自衛権の問題、拉致問題、国の借金問題等も起こっておらず、『世界の中の日本』『世界の中心で行動出来る日本』と言われるような問題についても、日本州の出身者がアメリカの大統領になる可能性が出てくる。」とか
  2. 例えば、「アメリカでは、建国当初の時代なら奴隷として扱われて、大統領になるなどとは考えもされなかった筈の黒人の人物が、今では大統領になっている。」とか
と云ったレベルの「ダイナミックな」議論、「豊かな発想」が必要なのではないか。そう云う事について憲法上の問題が有るのか無いのか、お聞きしたい。
と云う意味である事は明白です。
そして、人の話をきちんと聞かない人が発言の文脈を無視して、「日本がですよ、アメリカの第51番目の州になる、と云う事についてですね、憲法上どのような問題が有るのか無いのか。」と云う箇所だけを取り上げて「売国的だ!」と騒いだり、「今アメリカは黒人が大統領になっているんですよ。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ、はっきり言って。」と云う箇所だけを取り上げて「人種差別だ!」と唱えたりしている、と云う事も分かります。
ですから、丸山議員の発言は全く失言ではなく、発言を最初から最後まできちんと聞かずに一部だけを取り上げて見当違いの非難をしている人達の非難の言葉こそが失言だ、と思います。

私は、相手の話をきちんと聞かずにでっち上げて決め付ける事を、人がする事の内で最も無礼な事だ、と思っています。
丸山議員の年齢(1946年1月23日生まれ、との事)を考えれば、丸山議員は無礼な若い記者連中に向かって、
黙れ、無礼者!
誰がそんな事を言ったか!
人の話はちゃんと聞け!
と一喝しても良かったんじゃないか、と思います。

ところが、丸山議員はこの発言について「誤解を招く発言だった。」と謝罪した、と報じられています。

CNN.co.jp : 丸山和也議員、オバマ大統領についての「黒人奴隷」発言を謝罪

これこそ大きな問題だ、と思います。
なぜなら、これは、落度無く話した人が、その話をきちんと聞きもしないで捏造して言い掛かりを付けてきた人に、自分の側に落度が有った、と認めた、と云う事であり、人の話をきちんと聞かない事やでっち上げて決め付ける事を正当化する事になるからです。
そして、教育現場に居ると、そのような正当化を良しとする傾向は既に出来つつある、と思います。
と言うのは、今の子供達には、問題文を一瞥するだけで読まずに解答を出そうとして、解答出来ないと諦め、「分からない。」「難しい。」と言い立てる傾向が顕著だからです。

しかし、主要な新聞社や放送局がこぞって丸山議員の発言を正しく伝えず、発言をきちんと聞いた振りをしてでっち上げ、味方の筈の自民党の重鎮達まで同じ事をしているらしいのを読むと、日本の学力低下は既定路線で、既に大人にも相当浸透しているようです。
今後、3行以上の文章を読む事が出来ない大人が続出するんじゃないか、とも思います。
粟谷塾だけはそう云う風潮に染まらないように守っていきたい、と改めて感じる今日この頃です。

参考ページ

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